あの日を思い出して。

諦めの悪い方です。ゆっくりやっていこう

曇り

『泣き虫ルディア②』 作:ハイミドリ

 

「おじいさんの音楽素晴らしかったです。私はルディアと言います」

お辞儀をして、ルディアは老人の旅人の隣に腰掛けました。

彼が笑顔で両手で握手を求めてきたので、優しく両手で包んであげました。

うんうんと老人の旅人は大きく頷き、また手紙を書きました。

『私はファロ。しゃべる事は出来ませんが…しかし、しゃべるように音楽を奏でます。

この小鳥はずっと大切にしているジルで、私の目と口になってくれます。

ところでルディア、どうして悲しい顔をしていたんだい?』

ファロは手紙を渡して、ルディアの顔を覗き込みました。

手紙を読み終わったルディアは悲しそうに微笑んで

「私と仲良くなると不幸になってしまうから、話しかけようか迷っていました」

と言いました。

 

ファロはあごに手を置き、少し考えてから手紙の余白にこう書き足しました。

『人と人が出会えば、良い事も悪い事も必ず起こる。君はよく気がつく子だね』

それからファロはルディアの肩をポンポンと優しく叩き、楽器を奏でだしました。

小鳥のジルも、歌うようにさえずりました。

ルディアは優しく励まされたような気持ちになって、嬉しくて涙が溢れてきました。

それから、ファロが広場で音楽を演奏する時はルディアは出来るだけ聞きに

行きました。その様子に、広場に来ていた他の人達もファロの音楽を聞くようになり

チップだけでなくパンやミルクを渡して喜ぶ人も現れました。

 

楽しい日々が続いてほしいな…ルディアは洗濯物を干しながら歌っていました。

もちろん音楽はファロの奏でてくれた曲で。

天気も良く、心地良いそよ風が吹いていました。

仕事も終わったので、一休みしに広場へ出かける準備をしようと家に戻ろうとした時

突然、ジルがけたたましく鳴きながらルディアの目の前に飛んできました。

ルディアはジルの様子に怖くなりましたが、もしかしたらファロに何かあったのかも

しれないと広場に急ぎました。

 

すると、どうでしょう。

広場はゴミで散らかり、人だかりができていました。

ファロがいつもいる場所の方です。

乱暴な高笑いや怒鳴り声が聞こえます。

人だかりに割り込んでいくと、そこには街の権力者の息子と不良たちがいてファロに

乱暴をしていたのです!

ファロの大切な楽器を高く持ち上げ、ファロが取り返そうとして近づくと

仲間に投げたり、足でファロの体を押して遠ざけたり、ファロがしゃべることが

出来ないのをマネして嘲笑ったり、つまずかせて転ばせようとしていました。

ルディアは怒り、人だかりに紛れていることが出来ず

不良たちの中に飛び込んで、ファロの身を庇いました。

辺りが、しーんと静まり返りました。

 

舌打ちが聞こえて、権力者の息子がルディアの前に歩いてきました。

立ち止まるかと思いきや、ルディアに向かって地面を蹴って砂埃をかぶせました。

「なんだよ死神。今度はじーさんに憑いたのか?」

昔、男の子が死んだときにルディアを死神と呼んだ子でした。

「私が死神なら、あなたは疫病神ね。弱い者いじめなんてダサすぎて呆れるわ」

ルディアは睨みながらそう返しました。辺りがざわめきました。

権力者の息子はカッと顔を赤らめて、不良から楽器を乱暴に取り上げ

ファロの前で地面に力いっぱい叩きつけて踏みつけて壊してしまいました。

「これで済むだけマシだと思え」

それだけ吐き捨てると、不良たちを連れて街の方に去っていきました。

人だかりも、蜘蛛の子を散らしたように去っていきました。

 

広場に残ったのは、可哀相なファロとルディアとジルと壊れた楽器だけでした。

 

 

 

【続く】

 

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多分、次で終わると思います^^

 

 

 

 

 

今日は母と近くの温泉に行ってきました。

風が強かったので露天風呂には入りませんでしたが、ゆっくりおしゃべりしながら

過ごしました。ちょっと湯冷めしちゃったのか、頭が痛いです;

今晩の夕食は軽めにしようと思います。