あの日を思い出して。

諦めの悪い方です。ゆっくりやっていこう

若者と猿

むかしむかし、にんげんのせかいにかみさまがおりました
かみさまはにんげんにころされました
かわいそうなかみさまのしんせきは その地にのろいをかけました
そのひから かみさまがしんだにんげんのせかいは くるしみがつづきました

しばらくして、くるしいせかいのわかものがないていました
ひとりだちしたのに たいせつなものがなくなってしまったのです
わかものはないてあばれました
まわりのにんげんはぜんりょうでしたので かれにちからをあたえました

わかものはかみさまのようなちからをつかえるようになりました
わかものはちからをおもいのままにつかいました
ひれふすものじはじひを はむかうものにはこうげきを
かみさまのいないせかいはかれのものでした

すこしして、かしこいさるをつれたろうじんが わかものにあうことができました
「このさるはただのさるです。げいがすこしできます」
「それならげいをみせておくれ」
ふかぶかとおじぎをしたろうじんは とつぜんさけぶとさるをたたきました
さるはあーう!とおんなのようにさけびだんだんとにんげんのすがたになりました

わかものはそのさるにこいをしました
ろうじんにこんがんして、このさるをじぶんがせわするといいました
はむかうならろうじんをのろうと
ろうじんはしかたなくさるのせわのしかたをおしえました

わかものはうれしくて、まいにちさるをたたいておんなにしました
さるはまいにちたたかれているのに わかものがせわをしてくれるし
おんなになるいがいはひどいことをされないので なれていきました

あるひ、おんなになったさるをもとにもどすことなく めをはなしていたら
おつきの人間がおんなのさるを穢してしまいました
さるはなにがおきたのかきづいていないようでした
わかものはおつきのものの喉をとってしまいました
おんなのさるはちえをもってしまいました
そして、このことにぎもんをもってしまいました

わかものはきがくるってしまい、かわいそうなさるを ころしてあげようかとおもいました
なぜなら、ろうじんにかたくきんじられていたからです
ろうじんはさるのことをすべてわかものにおしえていたので
きんきをやぶったにんげんがどうなるかもわかものにおしえていたのです
だから、わかものはさるを穢さなかった

かみさまたちは、わかものをすこしだけかわいそうにおもいました
だれかがさるにやくめを終わらせよとやじをとばしました
でもみんな、かみさまをころしたにんげんのことなんてどうでもよかったのです

まぁ、まじないのついたさるのことはいたくきにしていたので
とりあえずしなないように ちえをもつはやさをおそめてあげました
そのかわり、さるはおんなからほかにはなれず こころをやんでしまいました

「かわいがっていたさるをすきなようにしだしたのはじぶんです
さるがさるでいられるようになるにはどうしたらいいですか?」
わかもののといに、かみさまたちはあきれてしまいました
せっそうのないにんげんのおこないに おこるきすらありません
だけど、かみさまなので にんげんのかみさまがどうしていないのかくらいはおしえてあげました

わかものははじめてにんげんのせかいにかみさまがいないのかはじめてしって
しにたくなりました
むかしみたいになきそうになりました
すこしなきました
でもがまんしました
そうしたら、かみさまたちは少し面白くなりました
かみさまたちにちかいかんかくをもっているにんげんが、めずらしくまともになっている

いぬのかみさまがいいました
「そだてよ。あいで。あいのみによって」
そのかみさまはせんげつしゅっさんしたばかりなので、じひにあふれていたのです
さるなのに。さるのかみさまよりはやかったことば
さるのかみさまはすこしむくれたけど、おなじことをかんがえていたので
わかものにさるのことばとせかいをおしえてあげました

 

わかものはいぬのかみさまのことばとさるのかみさまのちえで
おんなになったさるをすこしでもすくってやろうと
ついでにじぶんもみとめられようとこうどうするようになりました

すこしちえのついたおんなのさるは、にんげんのすがをしていることをいいことに
じぶんかってなふるまいをしていきました
みようみまねでにんげんになりすますけど、もとがさるなのですべてにんげんのようにはできず
あたまにきたらこわしてあるいてました

わかものがかみさまたちのところからにんげんのせかいにかえってきたら
おんなのさるのこわれぶりに少したじろいでしまいました
いまならおんなのさるはわかものすらもころしてしまいそうなほど
ちえのせいちょうがふきそくだったのです

わかものはさるのことばをつかってはなしかけてみました
にんげんになりきっていたおんなのさるはむししていましたが
ききおぼえのあるこえにはんのうして、わかものをにらみました
おんなのさるがすこしおちついたので
若ものはのどをとられるおもいでおんなのさるをたたきました

おんなのさるはきばをむきうなりごえをあげました
はじめてみるさるのぶぶんでした
でもおんなのすがたをしているのでわかものはくじけそうになりました
きずだらけになってもいい のどをとられてもいい
うずくまってきばをむいてるおんなのさるとおなじたかさまでかがんで
ひざをつき かおをだし へっぴりごしになりながらうでをのばし、てのひらをみせました

「おいおまえ、わたしだよ。おまえのしっているわたしだよ。
こわくないよ。てきじゃないよ。こわしたりしないよ。おいで。  おいで!」
こころとこえとせいいっぱい近づけたからだで、おんなのさるにつたえました

おんなのさるはハッとしてめをみひらき わかもののてをはらいとびかかりました
わかものを押し倒してかたをつかみ、ものすごくかおをちかづけてさけびました
せいいっぱいのいかくだったのでしょう
まゆげのあいだにしわを寄せ牙を見せかなしそうにしている
と、わかものはおもいました。

なんだかかわいそうになって わかものは叩く以外のほうほうでおんなのさるに触れました
おんなのさるにしてみたらはじめてわかものに触れられたのです

おんながこえをおしころしてなきだすと、おとこはおんなのあたまをひきよせ
くちびるでうけとめてあげました。